当科では5名のIVR専門医/指導医を中心に、下記の如く各診療をおこなっています。ここでは、IVR学会広報委員会のパンフレットから抜粋し、それぞれの診療内容についても記載します。
文責:小金丸雅道(IVR学会専門医/指導医)
「I V R:アイ・ブイ・アール」は、今、注目されている「患者様にやさしい最先端の治療法」の一つです。
IVRは原語である「Interventional Radiology:インターベンショナルラジオロジー」の略語であり、原語では専門家でも覚えにくいので、IVRが日本の医療で用いられています。また近年ではIVRは「画像下治療」と表現されるようにもなりました。IVRも医療界だけではなく、国民の皆様にもなじみ深い言葉になってもらいたいと願い、わかりやすく説明いたします。
IVRはX線(レントゲン)透視像、血管造影像、US(超音波)像、またはCT像を見ながら、カテーテルと呼ばれる細い管や、針を用いて外科手術なしで、できるかぎり体に傷を残さずに病気を治療する画期的な方法です。つまった血管や胆管を拡げたり、出血した血管をつめて止血したり、がんを死滅させたり、さまざまな治療を行います。手術を必要としないため、体への負担が少なく、病気の場所だけを正確に治療することができます。
私たちの体内には、全部をつなぐと10万km(地球を2周半)の長さになる血管が張り巡らされています。また、胆管や尿管、消化管などの大切な管もあります。IVR はこれらの管にカテーテル(細い管)を挿入し、さまざまな治療を行います。さらに血管を介さず、直接臓器に針などを穿刺し、治療や検査をおこなう場合も含まれます。
IVRを安全に実施するためには、高度な技術が要求されます。現在、IVRは放射線科医が中心になって行っています。放射線科医は画像をもとに診断し治療する仕事をしています。放射線科医が長年培ってきた能力・技術が、この新しい治療法に生かされています。IVR学会では、このすぐれた治療法が、より安全に、より多くの医療機関で実施されることをめざして、会員の教育、技術研鑽につとめ、この治療法の専門医である「IVR専門医」の育成と認定を行っています。IVRには保険認可されていない治療もありますので、必ず専門の医師に相談して下さい。
IVR学会ホームページ
http://www.jsir.or.jp/
IVRとは/Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/Interventional_Radiology
当科では下記内容を中心としたIVRをおこなっています。
これらの内容に関しては、pdf fileにて閲覧ください。
- 肝臓がんに対する動脈塞栓術(PDF)
- 動注リザーバー留置術(PDF)
- 静脈ポート留置術(PDF)
- 経皮椎体形成術(PDF)
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脳動脈瘤塞栓術(PDF)
その他 -
内臓動脈瘤に対する塞栓術:破裂、未破裂動脈瘤の塞栓術を行っています。破裂時の死亡率は30-80%と高い疾患です。治療の適応や方法については、専門医による診察の上判断されます。
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動静脈奇形に対する塞栓術:内臓や皮膚など多部位に発生しうる血管奇形です。症状は部位により異なり、治療法も症例により様々です。IVRにて根治または症状の軽快を得ることが可能です。
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緊急止血の必要な症例に対する塞栓術:高度救命救急センターと連携し、外傷性出血や内因性出血に対する緊急症例も多数例おこなっています。夜間・休日にも対応できるよう努力しています。また救命センターのみならず、産科系・外科系関連出血症例にも緊急対応しています。これらの疾患は早急な対応が必要な症例がほとんどであり、カテーテルを選択的に血管に挿入し塞栓物質を用いた緊急止血が必要です。
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緊急血栓溶解療法の必要な症例に対する血栓溶解療法:致死率の高い上腸間膜動脈塞栓症や腎梗塞などの症例に対する溶解療法をおこなっています。
当科では若い医師たちのIVR専門医師を数多く育てる努力をしています。
動物(ブタ)やドライモデルを使ったIVRトレーニングを積極的におこない、IVR専門医師育成にも力を入れています。