- 1.MRIとは?
- MRIはMagnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略です。原理は静磁場と外部から照射する非電離電磁波であるラジオ波を用い、主に水成分や脂肪成分に含まれる水素原子を画像化し、非侵襲的に診断を行います。CT(computed tomography; コンピュータ断層法)とは違い被曝のない検査法です。
- 2.MRI装置はどのようなもの?
- 強い磁場(地磁気の1~3万倍)を発生する、ガントリーと呼ばれるトンネル状の機械と患者さんが横たわるベッドから構成されています。検査時にはベッドがガントリーの中に入り、体へラジオ波を照射することでコンピュータ処理された画像ができる仕組みになっています。
- 3.MRIは恐くないの?うるさくないの?
- ガントリーは開放的にできていますので、極度の閉所恐怖症でなければ安心して検査ができます。また、ラジオ波を照射する際に比較的強い音が発生しますが、耳栓やヘッドホンを装着することでかなり軽減できます。
- 4.MRIは検査時間が長いと聞きますが?
- MRI検査にかかる時間は、20分前後です。ただし,多くの情報が必要な精密検査では、30分以上かかる場合もあります。
- 5.MRIの造影検査とは,どのような検査ですか?
- 造影検査とは、ガドリニウム製剤を経静脈的に投与し、MRI検査を行う事です。造影検査により、病変 (腫瘍や炎症など)の存在や診断が容易になります。造影剤に対して、副作用の既往がある方や重篤な腎障害をお持ちの方は造影検査を行うことが出来ません。その他、気管支喘息やアレルギー体質の患者さんも、造影剤使用に注意が必要です。この様な既往や症状がある方は、必ず主治医へ申し出て下さい。
- 6.MRIはどこが優れているの?
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レントゲン写真やCT検査と異なり、被曝しません。組織コントラストに優れた検査ですので、病変と正常組織を明瞭に区別することが可能です。
【有用な疾患】
- 脳外科領域 (脳動脈瘤、脳梗塞、脳腫瘍など)
- 整形領域 (椎間板ヘルニア、半月板・靭帯損傷、関節炎、骨腫瘍、軟部腫瘍など)
- 婦人科領域 (子宮や卵巣腫瘍、生殖器奇形など)
- 泌尿器科領域 (膀胱腫瘍、腎腫瘍、水腎症など)
- 耳鼻科領域(咽頭癌、喉頭癌、舌癌、上顎洞癌など)
- 腹部領域 (肝腫瘍、胆嚢腫瘍、膵腫瘍など)
- 乳腺領域 (乳癌、乳腺炎など)
- 心大血管領域 (心筋炎、心筋症、血管炎など)
- 7.MRIができない人がいると聞きましたが?
- MRIの検査室内およびガントリーには、強い磁場が発生しているため、心臓ペースメーカのある方は検査ができません。ただし、MRI検査対応の心臓ペースメーカーであれば、検査は可能です。最近の脳動脈瘤に用いられるクリップは、非磁性体であるため、MRI検査が可能です。ただし、30年以上前にクリップ術を受けられた方は、クリップが磁性体のことがあり、その場合は検査ができません。手術を受けられた病院にてクリップの材質確認が必要です。極度の閉所恐怖症の方は検査が出来ません。妊娠3か月までの妊婦の方や用心のため検査は控えるようにしています。
- 8.MRIは費用が高い検査と聞きますが?
- 検査部位や検査法で若干異なりますが、保険診療が認められているため、3割負担の方で4000円から6000円程度です。(なお、造影剤を使う必要のある方は3割負担の方で6000円程度の追加になります。)
- 9.久留米大学のMRI検査の実際
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久留米大学病院の本館3階にあるCT/MRIセンターには3台の高磁場(3テスラ)MRI装置があります。高磁場MRI装置では、 高いコントラスト分解能と空間分解能の画像を取得することが出来るため、 詳細で正解な診断が可能となります。
【高磁場(3テスラ)MRI装置】